繰り上げ返済の大きな落とし穴
「返済年数は何年がいいのか?」という質問と同 じぐらい多いのが、「繰り上げ返済はどう考えれば いいのか?」という質問。「借りる前から繰り上げ返済の心配?」と思われるかもしれませんが、35年返済で借りれば、ほとんどの人は、定年退職時までに住宅ローンを完済することができません。逆の言い方をすれば、 繰り上げ返済することを前提にした住宅ローンを組んでいる人が大半だということが言えます。
しかし、この繰り上げ返済、一歩間違えると取 り返しのつかないことになってしまいます。
そこで、今回は「繰り上げ返済」について簡単 にご説明をしていくことにしましょう。
繰り上げ返済とは、その名の通り住宅ローンの 元金部分を前倒し(繰り上げて)にして支払うこ とをいいます。
繰り上げ返済には、「期間短縮型」 と「返済額軽減型」の大きく2つの方法があります。 その特徴をまとめるとこのようになります。
【期間短縮型の特徴】
■ 毎月返済額(ボーナス加算額):変わらない
■ 残り返済期間:短くなる
【返済額軽減型の特徴】
■ 毎月返済額(ボーナス加算額):軽減される
■ 残り返済期間:変わらず
まあ、その名の通りということですね。 ちなみに、同じ金額を繰り上げ返済するなら、 返済額軽減型よりも期間短縮型の方が、軽減でき る利息の金額が多いということは知っている方も 多いですよね。
つまり、ほとんどの人が行う繰り上げ返済は「期間短縮型」が一般的です。しかし、この「期間短縮型」の繰り上げ返済こそ、 その取り扱いがなかなか難しいのです。
「期間短縮型」の繰り上げ返済は、その名が示す 通り、返済期間が短くなるだけです。 決して毎月の返済額は変わりません。つまり、 繰り上げ返済をしても将来の支払うべき利息を軽 減させているだけで、今の生活は何も変わらないのです。しかも、どんなに頑張っても、子どもが大学に 行くまでに住宅ローンを完済できる人はなかなか いません。 つまり、繰り上げ返済のために手元の貯蓄は少 なくなったものの、毎月できる貯蓄はまったく変 わらない、もしくは、教育費の上昇で少なくなっ てしまう、ということが起こるのです。
「繰り上げ返済は、早めにした方が得。」これは 間違いではありません。 しかし、繰り上げ返済を頑張り過ぎた結果、子どもの大学進学費用が足りない。これでは本末転倒ではないでしょうか?
だからと言って、「返済額軽減型」や、繰り上げ 返済をしないことを勧めている訳でもありません。 繰り上げ返済をするタイミングを考えなければな らないということなのです。 確かに繰り上げ返済は早めにした方が得です。 しかし、目先の損得を優先することで、あとで困ることもあるのです。
自分の人生でこの先、どのタイミングで、どの くらいお金が必要なのか?それをよく計画するべ きなのです。