冬の工事は大丈夫なの?
皆さま、こんにちは。日を追うごとに急激に寒さが厳しくなってきましたね。妙高山もかなり白い部分が下まで降りてきて、冬の訪れを感じるようになりました。
ところで、この時期になると、お客様から、 『冬って、家を建てても大丈夫なのですか?』という質問を多く受けます。中には、『新学期までに新居に入らなければならない』といった、切実な理由の方もいらっしゃるので、冬の工事は 気になりますよね。
そこで、皆さまが心配するのは、『冷たい雨や 雪の降る中で、家を建てても大丈夫なのだろうか?』ということ。もう少し詳しく言うと、『雪の中で濡れても、品質は大丈夫なのか?』と皆さま、心配されているのかと思います。
もちろん大雪の降る山間部や、比較的雪の多い高田・妙高地域であれば、除雪をしながら基礎工事を行うことは難しいかもしれませんね。
というのは、現在の基礎は、『ベタ基礎』とい う形態を採用することが多く、家を建てる広範 囲に鉄筋を敷き並べていきます。
昔の基礎は、『布基礎』という形態で、鉄筋を 施工する範囲は、土台が乗る狭い範囲なので、 ブルーシートなどで養生をしながら行えば、雪が降る中でも施工することは可能でした。『ベタ基礎』は、家が建つ範囲、全面に鉄筋を 敷き並べるので、雪が降るとそれを防ぐことが 事実上、不可能です。
雪が鉄筋の中に入ってしまうため、そこにコンクリートを流し込むと、雪の部分だけが空洞になってしまいます。当然、基礎の強度が保てなくなりますので、基礎を作る観点から見ると、雪は大敵です。
ただし、寒さに関していうと、コンクリートの 基礎をつくるには、上越地域は、さほど障害には ならないと思います。一冬の間に氷点下になるこ とは、あまり多くはないので、コンクリートの温度に関する品質は、実はあまり厳しくありません。
(ただし、凍るようなときは、凍らないような養生が必要です。)
というのは、コンクリートは乾いて固まるのではなく、化学反応を起こして、自己発熱して硬化していきます。硬化を始めるコンクリートは熱を持ちます。
なので、真夏の気温の高いときに、コンクリート作業を行うと、気温と発熱の相乗作用で、コンクリートが収縮する現象を起こし、クラック (ひび) が入りやすくなってしまうのです。
そのため、私たち技術者は、真夏の基礎づくり にはとても気を遣います。(熱を取って冷やして あげなければいけないので。)
冬のコンクリートの場合は、凍らないような温度の中で行えば、さほど寒さは心配ありません。ただし、冬のコンクリートは強度が出るまでに少し時間がかかりますので、いつもよりゆったりとしたペースで施工をすることになります。
もう一つ、冬のコンクリート作業を行うときに気を付けなければいけないのが、仕上がりの綺麗さに関してです。やはり、夏の天気の良い方が綺麗に仕上がると思います。
雨や雪の中で作業をすると、どうしても仕上がりが汚く見える場合があります。ただ、コンクリートの品質(強度)に関していえば、心配はないかと思います。
ですので、雪の少ない直江津地域では基礎工事を行いますが、雪の多い高田・妙高地域は、基礎工事を控えることが多いです。
では、木材に関してはどうでしょうか? 現在、当社の木材は、100パーセント乾燥材が用いられています。水分を含む率(含水率)15パーセント以下、という材木を使っています。家が完成してからも、木の狂いが少ない木材です。
ところが、どうしても冬の工事だと、雪や雨で濡れることになります。『せっかく乾燥材を 使っているのに、濡れてしまったら、元も 子もないのではないか?』と、皆さまが思わ れるのは当然だと思います。
ですが、木材の芯まで乾燥されている乾燥材の表面が、雨や雪で濡れても、木材の芯まで濡 れてしまうということは、実際にはありません。 私たちは、冬の工事を行う場合は、上棟をして家の外周部を囲った後、含水率を計る機械『含水計』というもので、各部材の含水率を確認し ながら、工事を進めます。むしろ冬以外でも、梅雨があったりするので、やはり、濡れることがあります。ですので、同じように品質の管理をしなくてはいけません。
一つだけ気をつけていただきたいのは、夏でも冬でも、どうしても濡らしたくない材料があります。「合板」と呼ばれる材料です。
「合板」は、力を受け持つ部分などに使う大切 な材料です。これが濡れた場合には、合板自体に カビが生えたり、材料が剥がれてくるような現象を起こします。
ですので、必ず水分量の検査を行って、乾き具合を確認してから、次の工程に進めるようにしています。
いずれにしても、冬の工事が全くできない訳ではないので、どうしても春先までに工事を進めたいとお考えの方は、是非、住宅会社の担当者さんに相談してみると良いと思います。