『屋根雪の重さを考える! 』
皆さん、こんにちは!昨年末からの雪に加えて、年明け早々の災害級の大雪で、上越広域で大変な雪害になりました。いまだに枝線道路は、完璧とは言えない状態ですよね。
35年ぶりと言われる大雪で、雪国に対応した家造りも、もう1度しっかり考える必要がありそうです。今回は、『屋根に積もった雪の重さ』について考えたいと思います。
私は安塚区の出身で、昭和59年・60年・61年の3年連続大豪雪を経験しています。当時、実家周辺でも4m以上の雪はあったのではないでしょうか。ですので、屋根雪で家が倒壊する怖さも知っていますし、雪おろしの苦労も承知しています。また、屋根雪の落とし場所が確保出来ずに、ご近所トラブルになる事も知っています。
そのため、間取りのプランニング・設計の時には、『屋根の雪』については、慎重に検討します。
具体的には・・・
➀『耐雪型の屋根』、『融雪型の屋根』、『自然落下式の屋根』と、どの 形態にするかの検討。
➁耐雪型を選択した場合、屋根を積雪、何メートルまで耐えられるようにするかの検討。
➂雪おろしが必要になった際、敷地のどこに雪をおろす(落とす)かの検討。
➃雪おろしをした時に、ご近所の敷地内に入らないかの確認。屋根へのアクセスの検討。
最低でも、この程度の検討は必要になります。
街中の旧市内の地域では、土地の大きさを考えると『自然落下式の屋根』は採用が難しいと思います。
今回は、『耐雪型の屋根』を主体にお話しをさせて頂きたいと思います。
近年、少雪が続いたこと、雪の降らない地域の住宅会社さんが設計した家が増えたことにより、
ご近所の方に、全く配慮がされていない新築の家も多く見受けられます。
屋根のほとんどが、お隣さんとの狭い境界方向に向けられている家がとても多くなりました。どうしても、雪おろしが必要になった時、お隣さん・裏の家の方の敷地に雪を落とすことは許されません。裁判沙汰になってしまいますから。これから家造りを考えている方は、気をつけてくださいね。
もちろん、屋根に登って雪をおろす作業は、危険で重労働作業です。できるだけ、雪おろしの回数が少ない家を設計することが大切です。
春日山~高田地域の方は、耐雪2.0mの積雪荷重に耐えられる家の設計をお薦めします。
ところで今回の大雪で、OBのお客様から以下の様な問い合わせを頂きました。
『社長、我が家の屋根は耐雪2.0mで設計してもらってるけど、今回の雪、大丈夫ですか?どの位の重量まで耐えれるんですか?』
私の家も同じ耐雪2.0mで設計していますが、まだ雪おろしはしていません。カーポートだけ雪おろしをしています。もう一回大雪が降ったら、雪おろしをしなければいけないと思っています。
ここで気になる
雪の重さ、皆さんご存じですか??
もちろん、軽い新雪から、氷の様な重い雪まで状態によって重さが異なることは想像出来ます。
建築基準法では、積雪に関して以下の決まりが設けられています。
■地域に応じた積雪荷重を算定すること。
■積雪時に建築物が構造耐力上安全であることの検証を行うこと。
ここで重要なのは、地域毎・雪の状態によって、重さが異なるということです。
例として、1m真角(1.0*1.0*1.0mの塊=1.0/m3)の雪の重さを示します。
- 新雪:およそ50kg/m3
- 著しく湿った雪:およそ500kg/m3
新潟県の雪質は重く、建築基準法では、1m真角=300kg/m3 する事が義務づけられています。かなり重い雪が想定されていますね。
もっと具体的に考えたいと思います。32坪の3LDKのお家を具体例にしてみたいと思います。ほぼ総2階の家になりますので、屋根の面積は55㎡程度になります。
この家の場合、屋根全体にかかる雪の重みはどれくらいになるのでしょうか?
かなり湿った雪の状態で、考えてみたいと思います。
★屋根の積雪が1.0mの時 → 16,500kg=16.5トン
★屋根の積雪が2.0mの時 → 33,000kg=33.0トン
どうですか、ビックリです。
もちろん、建築基準法で定められた『1m真角=300kg/m3 』という数字は、安全マージンもしっかり考慮された数字ですので、実際にはここまでの重さではないと思います。
でも、雪が氷の様な状態になれば、かなりの重さが家にかかってきて、倒壊の恐れも出てきますので、しっかりとした積雪の検討は行ってくださいね。
また、雪おろしのし易い屋根形状、ご近所さんに迷惑をかけない雪おろしの計画を、設計段階で盛り込むことも忘れないでください。
それでは、まだまだ寒い日が続きますので、風邪を引かないように体調管理しっかり行ってください!