『壁の中の結露は、とっても恐ろしい・・・壁内結露に気をつけてください!』

皆さん、こんにちは。7月に入って急に梅雨らしくなりましたね。毎日どんよりした天気で、30度を超える日も少ないので、暑がりな私にはありがたいです。でも、このまま日照時間が不足すると、お野菜の値段が高騰しそうで心配ですね。

さて、今回は壁内結露についてお話ししたいと思います。(夏なのに!)

先日、家づくりをご検討中のお客様(K様)からとっても興味深いお話をいただきました。K様は、会社の同僚達とも家づくりの情報交換をしています。そんな中で、ある同僚から以下のような話を聞いて心配になって、私にご質問をされました。

その話とは・・・

発砲系のウレタン断熱材は、冬場に壁の中で結露する(壁内結露)から、使わない方が良いらしいよ。断熱材を取り出して断面を切ると、水分で濡れているみたいだよ。

こんなことを聞いたK様は、とっても心配になって私に相談してきたのです。このお話を聞いて、私はとっても嬉しくなりました。何故かというと、一般の方でも壁内結露の重要性を勉強している方がいてくれたからです。

それと同時に、惜しい!もう少しの勉強をしてくれたら、完璧なのに。・・・と思ってしまいました。(上から目線で申し訳ございません。!)

ところで、何故、壁内での結露が良くないのでしょうか?主な理由を以下に書かせていただきます。

■断熱材が濡れた状態になるので、本来の断熱効果としての能力を発揮できない。つまり、省エネの性能が落ちてしまう。

■断熱材内で結露が起きると、その周辺にある柱・梁・筋交い・土台といった構造体まで濡らしてしまい、木材を腐らせる可能性がある。

■壁の中で結露が起きると、見えないところでカビが大量発生していて、知らない間に健康を害することがある。

以上の項目が、壁内結露によって起こりうる主な被害だと思います。

ここで、気をつけていただきたいのは、『発砲系断熱材』だけでなく、他の断熱材(グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、羊毛ほか)でも壁内結露は発生するのです。

ここで、簡単に壁内結露が起きる原因をご説明します。

 

●生活していく中で発生する、暖かく湿った空気が壁内を通過して外部へ向かっていく。

(熱は、暖かい方から低い方へ移動する特性があります。)

           

●断熱材の性能によっては、壁内にある断熱材の中で外部の冷気とぶつかって結露を発生する。

 

とっても簡単に言うと、この様な現象で結露が発生していると思ってください。

では、これを防ぐ方法はないのでしょうか?

実はそんなに難しくはなく、以下のきちんとした知識があれば、壁内結露を防ぐことができます。

①室内の壁と、断熱材の間に防湿フィルムをしをしっかり施工する。

この方法は、グラスウールできちんとした施工をされる会社さんは必ず設置されていますね。セルロースファイバーによる施工も、この考えに近いものです。欠点は、配管や電気配線周りに、どうしても穴が空きやすいこと。比較的、繊細な作業(釘などで穴を開けたりできない)なので、少しコストが高くなる点です。

②より高性能な断熱材を使用する。

そもそも、湿った空気が断熱材の中を通過しない断熱材があります。また、外部冷気がつたわりづらい高性能の断熱材もあります。

前者は、透湿率(ng/m・s・Ps)と呼ばれるもので、この数値が低いほど、湿った空気を通さない特性があります。なので、透湿率の低い数値の断熱材を採用して、暖かく湿った空気を通過させないことが大切です。

後者は、熱伝導率(W/m・K)と呼ばれるもので、この数値が低いほど冷熱の伝導を少なくします。なので、熱伝導率の低い高性能な断熱材を使用することが大切です。

③きちんとした計算(コンピューター解析)をすること。

実は、この方法が一番お勧めです。

 

(1)室内温度、室内湿度、外部温度を設定する。外部温度は、上越地域の過去で一番寒い日データを入力します。室内温度・湿度に関しては、少し高めの設定をすると厳し目の判定が出ます。

(2)室内壁から外壁までの使用されている材料の物性値特性値(熱伝導率や透湿率など)と厚みを入力します。

(3)上記2つの入力、その他の入力により計算を行い、壁内結露が発生するか否かが分かります。

つまり、どんな断熱材を使用しても、この『壁内結露』のシュミレーションを行えば、結露が発生しているかどうか分かるので、その対策をすることができるのです。

また、皆さんは壁の中ばかり気にしますが、屋根断熱を検討されている方は屋根面の壁内結露、基礎断熱を検討される方は、基礎コンクリートでの結露もきちんとシュミレーションしてください。

ちなみに、私が使っている結露の解析ソフトは高価なものなので、簡単に皆さまが手にすることはできませんが、気になる方はぜひ声をかけてくださいね。確認することができます。

それでは、また来月お会いしましょう。